【大橋好光教授特別講演】
非住宅建築物の耐震診断と木造住宅の耐震診断2012年改訂のポイント
ホームズ君 スキルアップセミナー 第三弾

2014年3月18日、木造建築の耐震性・構造設計法の第一人者である大橋好光教授(東京都市大学)を特別講師に迎え、「専門家が語る!木造建築の未来 ホームズ君スキルアップセミナー」(主催:ホームズ君「すまいの安心フォーラム」)を開催しました。住宅技術評論家 南雄三氏の「教科書として読む平成25年省エネ基準」、東京大学教授 稲山正弘先生の「中大規模木造建築の構造設計手法」に続く第三弾です。テーマは「非住宅建築物の耐震診断」。140名定員の会場がほぼ満席となりました。

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東日本大震災以降、学校校舎や体育館、幼稚園など木造非住宅建築物の耐震診断・耐震改修の需要が高まっています。そのための精密診断法2、「保有水平耐力計算」「限界耐力計算」について大橋好光教授に詳しくお話していただきました。2012年改訂版における重要な方針の一つが「非住宅への適用の拡大」ですが、大橋好光教授は学校校舎で使われているような大きな筋かいを考慮できるのは精密診断法2であり、必要に応じて精密診断法1と精密診断法2を組み合わせて使うことをすすめていらっしゃいました。

精密診断法2の構造計算の内容は確かに難しいものです。ホームズ君シリーズのコンセプトに「使いながら学べる」というものがありますが、この春リリース予定の「ホームズ君耐震診断Pro 保有水平耐力オプション」(大橋好光教授監修)では、データの充実やわかりやすいヘルプなどを用いて、より多くの皆様に精密診断法2に取り組んでいただけるよう開発を行っています。

後半では、インテグラル 代表取締役の柳澤泰男が、2004年版と2012年改訂版の違い、2012年改訂版における一般診断法と精密診断法1の違いについて具体的な事例や診断結果分析をまじえて説明いたしました。2012年の改訂では一般診断法が精密診断法1に近づいたものの、基準耐力や低減係数の扱い方の違いもあるため、必ずしも差が縮まるとは限らない、それゆえ、補強計画はより詳細に計算が行える精密診断法で行ったほうがよいことを解説しました。

また、耐震改修が進まない本当の理由について、耐震診断自体が施主の方に敬遠されているのではというお話をさせていただきました。耐震診断を行うには、一定の時間、家族以外の人間が自宅に立ち入ることになります。そのことを自体を嫌うのではないか、そのための片付けや準備が面倒なのではないか。そうであれば、建築年や外部診断をベースにした部屋には入らない簡易耐震診断ではどうだろうか。そして耐震改修が必要となった場合に、はじめて精密診断法1で詳細の耐震改修計画を立てるという、効率のよい耐震診断、耐震改修の進め方を提案いたしました。これにより、耐震化のペースアップを図ることも可能ではないでしょうか。

今回のセミナーでは専門家の口から直接、貴重で有意義な話が聞けたと、ご満足の声をいただきました。今後もさまざまなセミナーを予定しております。ぜひともホームズ君セミナーにご参加ください。