改めて、令和6年能登半島地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
2024年1月1日に発生した能登半島地震に関連し、インテグラルでは数度にわたり現地入りし、被害調査を行ってきました。このセミナーでは、その調査結果を報告し、さらに、木造住宅の耐震性について提言されているお二人の先生、東京都市大学の大橋好光名誉教授と山辺構造設計事務所の山辺豊彦先生からご講演をいただきました。全国から約200名が参加し、熱心に聴講していただきました。
第一部「令和6年能登半島地震被害調査から考える 地震に強い家、地震に弱い家」
第一部では、インテグラル会長である柳澤泰男から「令和6年能登半島地震被害調査から考える 地震に強い家、地震に弱い家」と題し、重点的に調査を行った地区について写真や映像を交えて報告しました。特に、インテグラルは2007年に発生した能登半島地震(震度6強)で被災した輪島市道下(とうげ)地区について、当時、建物被害の状況を詳細に分析していました。その17年後にあたる今回(2024年)、震度7という非常に強い地震動があったことによる被災状況を、追跡調査しました。道下地区の66棟について、2007年の被災状況とその後の状況別に18タイプに分け、新築(建替)された建物の被災状況や補強した建物の被災状況について報告しました。また、近年の熊本地震(2016年)や能登半島地震(2007年、2024年)を受け、建築基準法が想定する「数百年に一度」の地震が実際にはより頻繁に起こることを考慮するべきであること、そして新築においては耐震等級3が重要であることを強調しました。


第二部「能登半島地震に思う~木造住宅の耐震性~」
第二部では、東京都市大学の大橋好光名誉教授から、「能登半島地震に思う~木造住宅の耐震性~」と題して、今回の地震動の特徴や被害様相、今後の対策についてお話しいただきました。伝統的木造と現代木造の耐震性能の差が大きく広がっていることや、現行法の課題について言及があり、地震地域係数Zの見直しや中地震の標準せん断力係数C0を0.3(耐震等級3)に設定するなど、より厳格な耐震基準の必要性について提言されました。


第三部「ヤマベの木造住宅の耐震補強」
第三部では、山辺構造設計事務所の山辺豊彦先生から、「ヤマベの木造住宅の耐震補強」と題して、木造住宅の被害の特徴や原因、およびこれらへの対策として構造計画上の注意点やポイントについてお話しいただきました。さらに、伝統的構法住宅である古民家の改修事例について、古民家の意匠を損ねずに軸組みを補強する方法について解説いただきました。
参加者の皆様からは、「地震被害の状況についてよく理解できた」「今後の耐震補強の方針の参考になった」など共感をいただく一方、「もう少し詳しく聞きたかった」「時間が足りなかった、内容が多すぎた」といった声もありました。お寄せいただいたご意見は、今後のセミナー企画の参考にさせていただきます。


懇親会
また、閉会後の懇親会(ノンアルコール)では、石川県からご参加いただいたユーザー様から現地の様子についてお話しいただきました。「職人がいない、建材がない、コンクリート工場も閉鎖したまま……。被災された方々は疲れてきている……」とのお話があり、改めて、被災地の厳しい現実に触れました。ご参加いただいた皆様からは、「自分たちの地域でできること、復興のために協力できることを考えていかなければならないと感じた」などの感想が聞かれました。


今後に向けて
弊社は今後、今回ご紹介しきれなかった地震被害調査を報告するセミナーや耐震診断・補強設計に関するセミナーなどを開催予定です。全国の多くの方に、より有益な情報を提供できるよう企画を進めてまいります。

