この記事では、2025年3月5日(水)に東京・両国KFC Hallで開催した「2025年法改正 直前セミナー 基準法と構造計算、どう変わる?」について、当日の模様をレポートします。
いよいよ改正建築基準法施行まで残すところ1ヵ月を切りました。今回の改正は約40年ぶりの大改正で、建築業界に大きな影響を与える重要な法改正です。インテグラルでは、建築関係者の皆様が法改正にスムーズに対応いただけるよう、WEBサイト(ホームズ君.com)やYouTube(ホームズ君チャンネル)、対面/オンラインセミナー(ホームズ君セミナー)など様々な形で情報発信を行っています。
今回のセミナーは、インテグラル会長の柳澤泰男に加えて、特別講師として木構造の専門家である山辺豊彦先生をお招きし、二部構成+懇親会という内容で開催しました。
会場の東京を含む広範囲において悪天候が心配されましたが、蓋を開けてみると会場最後尾まで埋め尽くすほど、多数の方に参加いただけました。遠方からは鳥取県や長崎県から参加された方もおり、参加者の熱意が強く伝わってくるセミナーとなりました。


第一部 「2025年法改正 基準法と構造計算、どう変わる?」
第一部では、インテグラル会長の柳澤が、2025年法改正に対応した構造計算の実践的な検証結果について説明しました。ホームズ君「構造EX」を用いて、異なる条件で複数のプランの計算を実施し、 改正後の基準が設計にどのような影響を及ぼすのかを分析し、重要なポイントを解説しました。
まずは、今回の法改正の概要として、仕様規定/性能表示では建物の荷重の実態に応じて、より精緻に壁量を算定する計算方法に見直しが図られましたが、その結果、新基準の壁量は旧基準と比較して、どの程度強化されたのかについて、地震力に掘り下げて比較し、説明しました。また、新基準の柱の小径については新しく示された3つの検討方法について、具体的に取りうる小径寸法を網羅的に整理して説明しました。あわせて、早見表や表計算ツールによる方法での検討の制限事項をお伝えするとともに、ホームズ君で採用されている柱の負担面積により検討する方法が、3つの方法の中では望ましいことをお伝えしました。


次に、新基準における、令46条壁量、性能表示耐震等級、許容応力度計算の必要壁量の関係を比較し、それぞれの違いを報告しました。あわせて、検定項目(仕様規定/性能表示/許容応力度計算)の違いを解説しました。
結論としては、改正後の基準であっても、荷重が大きかったり、吹抜けやスパンが飛ぶ物件であれば、それらを精緻に考慮でき、耐力低減や偏心によるねじれを考慮できる許容応力度計算(構造計算)をする必要性を、より明確に理解していただけたと思います。また、新基準の仕様規定は、改正後も壁量でも柱の小径でも、積雪が考慮されていないため、多雪区域では注意が必要で、より安全側の設計をしなくてはならない、また、準耐力壁を考慮できるようになったことは壁量確保がしやすくなったと言えるが、同時に、床組みや接合部への配慮の重要性が高まったと言え、品確法や許容応力度計算がおすすめであることをご理解いただけたと思います。
今回は、A4判のパワーポイント発表資料に加えて、重要な表やグラフをA3判に拡大した資料を同封したので、資料は多めになってしまいましたが、ペンを何本も用意して熱心に記入しながらセミナーを受講している参加者様の姿が、多く見受けられました。
講義終了後のアンケートでは、新旧基準の違いがよく分かった、許容応力度計算と仕様規定の比較が分かりやすかった、A3資料が見やすくてよかった、などの感想が寄せられました。


今回、国土交通省の協力により冊子版の「確認申請・審査マニュアル」と「ダイジェスト版」をご提供いただきましたので、参加者様への配布資料の中に1冊ずつ同封しましたが、第二部開始までの休憩時間中、休憩スペースに自由配布分として設置したところ、皆様が次々とお手に取り、最終的にはほぼなくなってしまいました。同じ事務所や関係者の方々に配られるのでしょうか。このような光景にも参加者様の関心の高さが垣間見られました。


第二部 「建物の構造計算のあるべき姿を考える」
続いて第二部に入ります。第二部は、山辺構造設計事務所 取締役会長の山辺豊彦先生を特別講師にお招きして、『建物の構造設計のあるべき姿を考える』と題し、70分間講義をしていただきました。
構造計画において、水平構面と耐力壁の連続性を考えることの重要性、梁桁や柱のかけ方で力がどのように流れていくかを細かく丁寧に説明していただきました。また、中央吹抜けや大屋根などの、開口を大きく設けた建物の構造計画の考え方など、実務的な観点を踏まえてご説明いただき、参加者様は真剣に話に耳を傾けていました。
講義終了後のアンケートでは、山辺先生のお話がとてもわかりやすくためになった、という感想が多数寄せられました。


懇親会
セミナー終了後には、懇親会を開催しました。会場の広さに限りがあるため、参加人数に上限を設けましたが、多くの方にご参加いただきました。座席の指定のない立食形式のため、皆様テーブルを移動しながら名刺交換を行い、盛んに情報交換が行われていました。今回はアルコールもご用意し、参加者様同士の会話も大いに盛り上がっている様子でした。新たな交流も生まれたと思います。
今後とも、ホームズ君を通じたユーザー同士の交流の機会を設けていきたいと考えておりますので、ぜひご期待ください。


本セミナーのアーカイブ動画について(すまいの安心フォーラム会員様限定)
ホームズ君「すまいの安心フォーラム」会員様限定で、ホームズ君マイページから3/5のセミナーのダイジェスト動画がご覧いただけます。一部編集をしておりますが、マイページから資料もダウンロードができますので、資料とともにご視聴ください。
▼ダイジェスト動画
・Vol.1:「2025年法改正 基準法と構造計算、どう変わる?」(約90分)
株式会社インテグラル 会長 柳澤 泰男
・Vol.2:「建物の構造設計のあるべき姿を考える」(約60分)
山辺構造設計事務所 取締役会長 山辺 豊彦 先生
▼公開ページ
ホームズ君マイページ 会員様向けホームズ君オンラインセミナー
▼ホームズ君マイページ ログインが必要です
https://mypage.homeskun.jp/contents/seminar/20250305.html
開催予定のセミナーについて
インテグラルでは、今後も法改正関連のセミナーを開催予定です。直近では3月19日(水)に株式会社青木工務店(神奈川県大和市)代表の青木哲也氏をお迎えし、
「確認申請・リフォームの実務が変わる!法改正の影響と対策を学ぶセミナー」
と題したオンラインセミナーを開催します。
詳しくはこちらのページ(ホームズ君セミナー)をご覧ください。
今後も全国の皆様に、より有益な情報を提供できるよう企画を進めてまいります。