【稲山正弘先生講演】「中大規模木造建築物の構造デザイン」セミナー【第二弾】(2026/3/18)

インテグラルでは、2026年3月18日、東京大学名誉教授・稲山正弘先生をお迎えし、「中大規模木造建築物の構造デザイン」セミナーの第二弾を東京で開催いたしました。

中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景

本セミナーは、2025年9月30日に開催した稲山正弘先生の特別講演において、内容を丁寧に掘り下げていただいた結果、予定時間内にお伝えしきれなかった内容をお伝えするべく、開催したものです。
今回の講演では、木造での中大規模建築を理論と実践の両面から深く掘り下げて稲山先生に解説していただきました。また、事例紹介においては稲山先生が手掛けられた実例をもとに解説していただき、実務者の皆様にとって、木造建築の可能性をより一層広げていただけるセミナーとなりました。



開会ご挨拶
藤間 明美 (株式会社インテグラル 代表取締役社長)

開会に先立ち、弊社代表取締役社長の藤間よりご挨拶を申し上げました。藤間からは、インテグラルの取り組みといたしまして、確認申請に必要な図書作成機能の強化、今後拡充予定の「AIアドバイザー」機能の紹介、さらに2026年4月から開始予定のBIM図面審査へホームズ君はすでに対応していることをお伝えしました。
インテグラルでは今後も実務者に寄り添ったサービスを展開してまいります。


第一部:事例で読み解く構造デザイン
稲山 正弘 先生(東京大学 名誉教授)

中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景

第一部では稲山先生より、前回2025年9月30日の講演の続きという形で、稲山先生の著書『中大規模木造建築物の構造設計の手引き 改訂第2版』(通称:稲山の黒本)の中身をより詳しく、主に以下の三点について詳しくご説明いただきました。

■接合部の設計方針
接合部における木質構造の破壊形式の解説に加え、ボルトやドリフトピンの設計に用いられるEYT式(ヨーロッパ型降伏理論式)を解説いただきました。また、EYT式は「木質構造設計基準」の改訂により一部計算式が変更となっていることも解説いただきました。
さらに、木造設計を大きく変えたものとして「長尺・大径ビス」を挙げられました。これらはJIS規格でも性能が規定され、このビスを「斜め打ち」することでロープ効果(軸方向の引き抜き抵抗)が働き、垂直に打つ場合に比べて剛性は約10倍、耐力は1.5〜2倍に向上するとのことです。

■大スパンを設ける実例解説
トラス構造においては「引張材を勝ち、圧縮材を負け」とし、仕口の支圧で力を伝えるのが基本であり、さらには前述の斜めビスを補強に使うことで、変形を劇的に抑え、割裂破壊の防止にも効果があると解説いただきました。このパートでは様々なトラス形式の計算例、実用例をご紹介いただきました。
また、トラスの標準図については稲山先生が代表理事を務められている(一社)中大規模木造プレカット技術協会のホームページより、誰でもダウンロード可能であることも紹介いただきました。
さらに、トラス構造だけでなく、方杖加工や折板構造を用いた大スパンの計算例と実例もご紹介いただき、特に折板構造をそのまま音響反射板として機能させた構造の紹介には参加者の皆様も熱心に耳を傾けていました。

■中層木造の実例と実大振動実験
建築基準法の防耐火基準改正により、主要構造部について、最上階から数えて4階は60分耐火、5~9階は90分耐火の性能を満たせば木造でも建設可能となり、この改正により高さ31m以下の純木造であれば許容応力度計算のルート2を用いることが可能になると解説いただきました。
実際に5階建ての準耐火木造建築について、E-ディフェンスで実施された実大振動実験の映像もお見せいただきました。阪神淡路大震災や新潟県中越地震の地震波を複数回受けても倒壊しないことが実験により証明されていることを映像も用いて解説していただきました。

中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景
また、中層木造準耐火を実現するために稲山先生が発案した両ネジボルトと角座金だけによる「引きボルト式ラーメン」を3丁合わせにして耐火被覆内の柱梁に“大ラーメン”として使用し、その両側を挟み込むように水平力のみ負担する“小ラーメン”を木あらわしとして設置する技術は、稲山先生が主宰する設計事務所である「ホルツストラ」として特許を出願し、皆がオープンに使えるようにしていただいています。
これらの知見と技術をもとにした純木造8階建ての実例を最後にお見せいただきました。 この設計には壁倍率にして35倍相当の高耐力組子格子耐力壁を開発し、使用されています。この耐力壁をあらわしにすることで、特に夕方から夜間にかけてライトアップされると、格子組が浮かび上がり、非常に美しい外観を演出しているそうです。
在来軸組工法の技術を流用することで住宅部材のプレカット工場で部材を加工し、地場のゼネコンに元請と施工を依頼することで坪単価150万円以下を実現。木材をあらわしにできるという意匠の付加価値もあり、市場において十分に競争力のあるものとなっていると自信をもって解説されていました。

講演終了後、参加者の方々にご協力いただいたアンケートにおいても、「疑問点が解消した」「事例紹介が多くわかりやすかった」「理論と実践の両方を知れたことが良かった」とのお声を多数いただきました。


第二部:ホームズ君がますます進化 -機能強化のポイントとAI連携の展開
木村 良行 (株式会社インテグラル 営業企画部)

中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景 中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景

第二部では弊社営業企画部の木村より、ホームズ君の機能強化についてご紹介しました。
ホームズ君「構造EX」では「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2025年版)」(通称:グレー本2025年版)にいち早く対応いたしましたこと、また、ホームズ君を用いて構造計算を行う際の注意点なども解説いたしました。
ホームズ君「耐震診断Pro」においても「2025年改訂版木造住宅の耐震診断と補強方法」に対応予定であること、現行Ver.5.1.0.0に引き続き(一財)日本建築防災協会の木造住宅耐震診断プログラム評価を取得予定であることを解説いたしました。
また、ホームズ君シリーズに随時「AIアドバイザー」機能を搭載していくことをご紹介しました。すでにリリースされている「省エネ診断エキスパート」の「室温AIアドバイザー」に加え、2026年3月には「あっと簡単見積」において「見積書AIアドバイザー」を追加予定であることをご紹介しました。
さらに、その他のホームズ君シリーズにも「AIアドバイザー」が続々と登場予定であることについてもお伝えしました。

事後アンケートにおいても、参加者の皆様から「AIアドバイザー」へ期待している旨の回答をいただきました。皆様のご期待に添えるよう、開発を進めてまいります。


当日、会場では「稲山正弘著 2025年改訂版『中大規模木造建築物の構造設計の手引き』改訂第2版」(通称:稲山の黒本)と「大橋好光・柳澤泰男 共著『設計実務に使える 木造住宅の許容応力度計算』」を販売いたしました。
稲山の黒本については、当日会場で購入された方限定で講演終了後に稲山先生からサインをいただくことができました。 こちらも大盛況のうちに閉会となりました。

中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景 中大規模木造セミナー(2026年3月18日)会場風景

本セミナーのアーカイブ動画について(すまいの安心フォーラム会員様限定)

ホームズ君「すまいの安心フォーラム」会員様限定で、ホームズ君マイページから本セミナーのダイジェスト動画がご覧いただけます。ぜひご視聴ください。

▼公開ページ
ホームズ君マイページ 会員様向けホームズ君オンラインセミナー
※ログインが必要です
 https://mypage.homeskun.jp/contents/seminar#venue