<大橋好光先生・神崎弁護士特別講演>震度7に負けないための「これからの木構造」

インテグラルは、2020年に向けて『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!』プロジェクトを展開しています。
このプロジェクトの一環として、大橋好光先生(東京都市大学工学部教授)と神崎哲弁護士(神崎法律事務所)をお招きした特別セミナーを2019年3月7日に開催いたしました。

【第1部】大橋好光先生「木造住宅の耐震性と構造計算の必要性について」
大橋先生には、木造住宅を地震から守るにはどのようにして構造設計をしていけばよいか、基準法だけを守っていれば震度7の地震に対して倒壊しない住宅が出来るのか?などについて解説をいただきました。その中で「建築基準法が想定する大地震は300~400galと言われている」「1996年に改定された計測震度では震度6弱か震度6強の下の方」であり、基準法を守っているだけでは不十分であるとおっしゃっていました。
そして、「これから」の設計として「建物の性能は自分で決める時代」に入っており「木造住宅の耐震性能を高めるのは難しい事ではない」とされ、「構造用合板や内装下地の石膏ボードの釘間隔を半分にすれば耐力は1.5倍になる」「費用のアップはわずかで基礎直結HD金物を加えても20万円もかからない」と示されていました。
また、「建物の性能を確実にするには」として、以下の2つを提唱され締めくくられました。
・木造住宅も1棟ずつ全て構造計算をする
・壁量設計を含む仕様規定を詳細にする

 

【第2部】神崎哲 弁護士「4号建築物の法規制の問題点 ~欠陥住宅事件の実情からの提言~」
神崎哲弁護士は二級建築士の資格もお持ちで、欠陥住宅事件に多数関わられています。それらの知見から見えてくる4号建築物の特例による問題点や、実際の訴訟例をまじえたご講演をいただきました。
建築基準法の規定内容を、建築の技術的基準に関する「実態規定」と、建築の手続に関する「手続規定」に分け、それぞれの規定における特例の内容と問題点を分かりやすく解説いただきました。
その後、神崎弁護士が携わられた実際の問題事例をご紹介いただきました。
最後に「無知な建築士や悪質業者の好き放題にさせたままでよいのでしょうか!4号建築物をプロフェッショナルの手に取り戻しませんか?」とエールをいただきました。

 

【第3部】柳澤泰男「施行令第46条壁量計算、仕様規定耐震等級と許容応力度計算耐震等級の耐震性能について」
インテグラル代表取締役の柳澤からは、46条壁量計算、品確法性能表示、許容応力度計算それぞれで想定している地震力や、それらの計算における検定項目の違いを解説いたしました。
また、弊社が協力させていただいた建築知識ビルダーズNo.32に掲載されている、伊礼智氏が設計された提案型の規格住宅「i-works1.0」を検証した結果についてもご紹介いたしました。
その後、構造EXの次期バージョンアップ(基礎梁開口部の計算方法に「応力計算方式」を追加)のご案内、現在開発中の「すまいのかんたんプレゼン」のご案内をさせていただきました。

 

弊社は今後も、『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!』をスローガンに、ホームズ君シリーズやすまいの安心フォーラムを通して、さらに皆様のお役に立てるよう努力してまいります。