「許容応力度計算のすすめ」セミナー

最近は2階建ての建物においても許容応力度計算を実施するビルダーや設計事務所がますます増えています。
ホームズ君「構造EX」を使用しているユーザー様からも、これから許容応力度計算を始めたい、という声を多く聞きます。
そこで、許容応力度計算を1日かけてじっくり学べるセミナーを、東京(7/19木)、大阪(7/26木)にて開催しました。

■第1部:許容応力度計算のすすめ
 
第1部では、許容応力度計算の計算内容について解説いたしました。
許容応力度計算で検討する項目は多岐にわたりますが、基本となるのは、「鉛直構面の検定」と「水平構面の検定」です。かかってくる地震力や風圧力に対して、壁の耐力や床構面・屋根構面の耐力が十分であるかを検討します。
また、注意すべき項目として、梁上耐力壁による「梁上耐力壁の剛性低減」や「横架材の短期曲げモーメント・せん断力の検定」について解説いたしました。梁上耐力壁が載る梁については、短期の曲げモーメントおよび短期せん断力がかかってきます。通常の鉛直荷重よりも大きな力がかかりますので、必要最小梁せいがかなり大きくなる場合があります。極端に梁せいが大きくなってしまうような場合は、耐力壁の位置や梁の組み方などを調整する必要が出てきます。
さて、今回のセミナーでは、より実務に近い解説を行うべく、ホームズ君「構造EX」で出力した構造計算書の見方についても重点的に解説いたしました。
例えば「壁のせん断耐力はどのように求めているのか」「地震力の数値はどの計算書を見ればよいのか」などです。計算書には膨大な情報が記載されているため、なかなか全てを把握するのは難しいと言えます。各計算書における数値の求め方や意味、確認の仕方などをお伝えしました。

   
 
当日配布したホームズ君「構造EX」の『許容応力度計算 構造計算書<抜粋版>』です。
鉛直構面や水平構面、梁の曲げとたわみの検定などの各計算書の見方、数値の求め方を図や矢印を使って視覚的に理解できるように解説しています。これを見れば許容応力度計算で何を行なっているかがよくわかります。

■第2部:ソフトで行う許容応力度計算の実務のポイント

第2部では、モデルプランを例に許容応力度計算における検定NGの解消例をご紹介しました。
許容応力度計算に慣れていない方にとっては、検定NGの数を見て戸惑ってしまう方も多いと思われますが、基本的に行うことはパターン化できます。
「鉛直構面の検定」であれば耐力壁を増やす、「水平構面の検定」であれば床構面・屋根構面の強化や耐力壁の移動による各通りの負担せん断力の分散などです。
今回のセミナーでは、実際にホームズ君「構造EX」で検定NGを解消していく様子をお見せいたしました。具体的に検定NGが解消されていく様子を見て、その方針を掴んでいただけたのではないかと思います。

   
今回のセミナーで用いたモデルプランです。
1階に広いLDKがあり、耐力壁線間距離が8mを超えるため、住宅性能表示の床倍率では検討できない建物です。このような建物でも、許容応力度計算なら構造検討が行えます。

本セミナ-が、「これから許容応力度計算を始めたい」という方の後押しになれば幸いです。
8月29日には同内容のセミナーを名古屋でも開催いたします。興味をもたれた方は是非ご参加いただければと思います。
また、今後はホームズ君「構造EX」の操作をメインにした実習セミナーも予定しておりますので、ご参加をお待ちしております。