ホームズ君「地震被害に学ぶ!耐震等級3のすすめ」

ホームズ君「地震被害に学ぶ!耐震等級3のすすめ」を大阪(6/23)、名古屋(6/24)、東京(7/7、7/14)にて開催いたしました。

会場の様子  CIMG2794-2

「建築基準法」は、大きな地震が発生するたび、強化されてきました。宮城県沖地震後の1982年には建築基準法施行令の大改正が行われ、必要とされる耐力壁の量が従来から約38%割り増しされた「新耐震基準」が設けられました。その後、兵庫県南部地震を受けて2000年には「新耐震基準」が強化され、地耐力に応じた基礎仕様の明確化、四分割法や偏心率による耐力壁の配置規定、柱頭柱脚接合部の金物の必須などが盛り込まれました。
しかし、2016年4月に発生した熊本地震では、震度6強から震度7の地震が短期間に立て続けに発生したことで、2000年以降に建築された木造住宅においても、倒壊・全壊の被害が確認されました。今後、震度7の地震に負けない家にするためには、どこまでの耐震性を求めればよいのでしょうか?
その答えの一つが、品確法で定められている耐震等級3(極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊しない)を満たすことと考えられます。本セミナーでは、インテグラルが独自に行った熊本地震現地調査結果と、耐震等級3の考え方や検定方法、検定をクリアするポイント等をお伝えしました。

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インテグラルは平成28年熊本地震による建物被害、特に木造住宅の竣工年代別の被害状況と特徴の分析を目的として熊本県益城町を中心に現地調査を行い、その結果を、調査報告と倒壊分析マップとしてまとめています。
「倒壊分析マップ」では、「全壊」「半壊」「外観上被害無」の3つの分類で被害状況を見ることができます。また、Googleストリートビューを用いることで、建物の倒壊前後の様子を比較することもできます。セミナーでは、年代ごとにいくつか建物をピックアップし、その被害状況を解説しました。1981年から2000年までに建てられた住宅で筋かいに釘を打っていないもの、2000年以降に建てられたと思われるもので倒壊、変形してしまっている住宅などの写真も公開しました。

また、本セミナーでは、被害にあった益城町の住宅で、実際の図面を入手できたものについて、「柱・壁の直下率」「性能表示壁量計算」「床倍率」「梁せい算定」「梁上耐力壁」の観点から分析を行いました。参加者からいただいた声では、特に「柱・壁の直下率」や「梁上耐力壁」の考え方について、関心が高かったと感じました。皆様、実務に当てはめてお考えになっていたのでしょう、解説を聞きながら、大きく頷かれている方が多数いらっしゃいました。

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品確法の耐震等級3を満たすためには、床倍率の検定が必須になります。しかし、その考え方を完全に理解されている方は、もしかしたら多くないのかもしれません。セミナーの後半では、床倍率のそもそもの考え方や、床倍率の耐震等級3をクリアするポイント等をお伝えしました。計算の内容を聞いて、難しいと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ソフトウェア(ホームズ君「構造EX」)を使用することで、手計算では面倒な部分(床区画の分け方や必要床倍率、存在床倍率の計算)をソフトウェアにまかせることができます。その分、設計者は耐力壁の位置や床面、屋根面の仕様の検討に注力することができるようになります。

今回のセミナーを通して、耐震等級の考え方について少しでも理解を深めていただけたのなら幸いです。今後も、セミナーやサポートセンターを通して、有益な情報をご提供してゆきたいと思いますので、ご期待ください。