ホームズ君「木造住宅の耐震診断」再入門セミナー

ホームズ君「木造住宅の耐震診断 再入門セミナー」を大阪(5/18)、東京(5/19)、名古屋(5/27)の3会場で開催しました。
平成28年熊本地震の発生により、耐震診断・補強設計への問合せが急増するなか、建築関係者の皆様に木造住宅の耐震性能について再確認いただくべく、また知識を深めていただけるよう本セミナーを開催いたしました。

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平成28年熊本地震では、前震から本震までの28時間で震度7が2回、震度6強が1回発生しています。大規模な地震動が合計で3回、観測されました。
2016年5月14日に開催された日本建築学会「2016年熊本地震」地震被害調査速報会では、2000年以降に建てられたと思われる木造住宅においても17棟が倒壊・全壊した(最大の場合)可能性があると発表されています。

【参考】建築基準法の耐震基準の変遷
○旧耐震基準(1981年以前)
○新耐震基準(1981年~2000年)
・旧耐震基準に比べ、木造住宅で必要とされる耐力壁の量が最大で38%増加
○強化された新耐震基準(2000年以降) ※現行の基準
・基礎の仕様規定の明確化(地耐力に応じた基礎形式の選定など)
・耐力壁配置規定(4分割法または偏心率0.3以下)
・継手・仕口の仕様の明確化(柱頭柱脚接合金物必須など)

現行の基準では、中規模の地震動(震度5強程度)でほとんど損傷を生じず、また、極めてまれにしか発生しない大規模の地震動(震度6強から7程度)に対しても倒壊などの被害を生じないことを目標としています。しかし、今回の熊本地震では、4月14日の前震では無事であった建物も、4月16日の本震で倒壊・全壊したと言われています。大規模の地震動が複数回発生した場合、建物の耐震性が1回目の地震で低下する可能性が指摘されています。
それでは、今後、大規模の地震動が発生した場合にも倒壊・全壊しない建物とするには、どの程度の耐震性を目指すべきか。
その一つの目安として、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた耐震等級があります。耐震等級2は「大規模の地震動の1.25倍の地震力で倒壊・崩壊しない」、耐震等級3は「大規模の地震動の1.50倍の地震力で倒壊・崩壊しない」とされています。被害を最小限に抑えるには、耐震等級3を目指すべきということを、本セミナーではお伝えしました。

一方、国土交通省は2020年までに既存住宅の耐震化率を95%にすることを目標に掲げています。この実現には、耐震改修のペースを現在の4~5倍にする必要があります。1981年以前に建てられた木造住宅は当然として、1981年~2000年までに建てられたもの(約1100万棟)においても、耐震性能が不足しているものがあると言われています。より多くの住宅で耐震診断を行い、耐震改修まで進める、とても重要な課題です。本セミナーでは、2012年改訂版の一般診断法および精密診断法1の計算方法について解説しました。現地調査を行う際のポイントも合わせて解説しましたので、より効率的に耐震診断を進めていただけると思います。これから耐震診断に取り組もうと考えている方も多数参加されていましたので、今回のセミナーを参考にしていただければ幸いです。