「家を買った人の2大ガッカリは・・・」
こんな切り口から始まる、歯に衣着せず、具体的な事例や写真を使って説明される前先生のお話は、参加者の心をしっかりとつかみ、会場に笑いを巻き起こしていました。
2015年10月26日、ホームズ君『すまいのエコナビ』の発売を記念して、ホームズ君「パッシブ設計セミナー」を、前真之先生(東京大学大学院
工学系研究科 建築学専攻)を講師にお迎えして開催しました。
前先生は建築環境研究の第一人者で、日経アーキテクチュア掲載時から話題となった「エコハウスのウソ」(日経BP社発行)の著者です。「エコハウスのホントを考えよう」というテーマでご講演いただきました。
本セミナーには、アメリカ出張直後にかけつけていただきました。視察を終えたばかりの「ソーラー・デカスロン2015※」についても、写真を交えてお話をしていただきました。
講演の中で、家を建てる際、施主は間取りや自然光、耐震などにこだわり、それらには建築後も満足している一方で、「室内の温熱環境」と「省エネ性能」は、予算との兼ね合いや設計者・施工者の知識・経験不足から、満足を得られていないというアンケートの結果を紹介されていました。施主にとっては、この「室内の温熱環境」と「省エネ性能」が『2大ガッカリ』になっているのが現状のようです。
前先生は三度の飯よりサーモカメラが好きで、さまざまな物件の撮影・計測を行っているそうです。サーモ写真を撮るためには、以前は300万円をかけてサーモカメラを購入するのが当たり前でしたが、最近では5万円もせずにiPhoneやiPadで撮影ができる時代になりました。それにより、施主が自ら気軽にチェックすることができるようになり、計測方法の大衆化が(施主が性能を確認する方法の)ルールや意識を変えるかもしれないとおっしゃっていました。前先生が、iPadに接続するタイプのサーモカメラの実機を会場に回してくださり、参加者の皆さんは興味津々に実際に手に取って体験していました。
最後に前先生のお話はこう締めくくられました。省エネ・快適な家を建てるためには、まず設計する人・建てる人が納得をすること。そして自信をもって勧められなければ、施主は省エネ性能を要らないと言って当然だ。一番大事なのは住む人の幸せで、地元に密着した良い家を建てることで、良い環境になり、地域が幸せになっていくのだと。
前先生のお話は、私たちにいろいろな気付きを与えてくださいました。
続いて、インテグラル 執行役員 藤間明美より、「パッシブ設計のすすめ」と題し、パッシブ設計とは何かということやそのメリット、インテグラルが取り組んでいるスマートワトソン君を使用した温熱環境計測調査に関してお話ししました。
これまで、耐震診断、構造のテーマに関しては、代表の柳澤が登壇していましたが、今回の省エネに関しては、女性目線の感覚で伝えた方がよいのではということで、藤間からお伝えしました。
セミナーの後半では、パッシブ設計を支援するソフトとしてホームズ君『すまいのエコナビ』(2015年11月発売予定)を紹介しました。
ホームズ君『すまいのエコナビ』を使えば、地域ごとの気象条件、季節、隣棟などの要素を考慮したパッシブ設計が行えます。燃費・太陽光発電・日影図・日射断面図・照度・日照時間・日射熱・室温・通風の9種類のシミュレーションをボタン一つでシームレスに見られるので、省エネ基準だけでは見えない住宅の性能が可視化でき、施主と共有することができます。
今冬には、発売した『すまいのエコナビ』と共に、全国パッシブ設計セミナーを開催する予定です。どうぞご期待ください!
※ソーラー・デカスロン2015
2002年にアメリカで始まった太陽光住宅の国際コンペティション。
次世代の太陽光住宅を学生が設計、建設し、エネルギー効率や革新性など10部門の総合得点を競う。
開催期間:2015年10月8日~2015年10月18日
開催場所:カリフォルニア州オレンジカウンティー
※「すまいのエコナビ」オプションという商品名で紹介されている内容については、 ホームズ君「省エネ診断エキスパート」パッシブ設計オプションとしてお読みください。