2015年1月27日、秋葉原で、大橋好光教授(東京都市大学)を特別講師に迎え、「木造建築の精密診断法2(保有水平耐力計算)セミナー」(主催:ホームズ君「すまいの安心フォーラム」)を開催しました。
会場はほぼ満席、関心の高さがうかがえるセミナーとなりました。
多くの家屋が倒壊し、甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災から20年を迎えました。学校校舎や集会所、幼稚園など、避難場所として使用される建物の耐震化を強化する動きが活発になり、木造非住宅建築物の耐震診断・耐震改修の需要がさらに高まっています。そのための診断法について、「非住宅木造建築の耐震診断」のテーマで大橋先生に詳しくお話ししていただきました。
講演の中で大橋先生は、「精密診断法1でも非住宅建築に適用できない訳ではない。しかし、基本的には精密診断法1は一般住宅用に作られているため、注意が必要。」と述べられ、規模の大きい非住宅の診断においては、建物重量や壁の高さなどが考慮しきれていないことを説明されました。
精密診断法2の内容では、「広い範囲の考慮(水平構面や柱頭柱脚接合部の劣化や腐朽など)が必要になるため、新築の診断法よりも既存の診断法の方がむしろ難しい。」とおっしゃっていました。
耐震診断において、既存建物の劣化等を考慮するための割増や低減の重要性を、改めて認識しました。
保有水平耐力計算に関しては、壁の荷重変形曲線において考慮すべき低減係数の項目を説明していただきました。基準書に記載されている項目は反映させ、記載のない項目に関しては独自に考慮された低減を設けたことの、根拠や経緯を述べられていました。さまざまな要因を考慮し、より精密に診断を行うというのが、耐震診断の考え方なのだ感じました。
また、講演の中では、大橋先生にご指導をいただき開発をおこない2014年12月に発売した保有水平耐力計算オプション(ホームズ君「耐震診断Pro」用)についても説明をしていただきました。
大橋先生は本オプションについて、「保有水平耐力計算による診断を補助する仕組みができたのはいいこと」とされた上で、「診断にあたっては、診断者がこの診断法自体をよく理解することが必要。プログラムはあくまで道具であり、適用範囲やその限界を知った上で使っていただきたい。」とおっしゃっていました。
まとめとして、保有水平耐力計算の前提となる、『地震力に対する許容応力度計算』のすべての検定の対応(現在は各検定項目のうち、評点の算出に直接影響する項目についてのみ対応)や、柔床算定ルートでの水平構面を考慮した計算への対応など、今後の課題についても明確にしていただきました。
政府の地震調査委員会が2014年12月に発表した、2014年版「全国地震動予測地図」では、関東地方の多くの地点で30年以内に震度6弱以上の揺れが起こる確率が上昇するなど、今後の大地震への備えが喫緊の課題です。
ホームズ君「耐震診断Pro」が安心・安全な住まいづくりの一助となるよう、引き続き努力していきたいと思います。
今後もセミナーを予定しております。ぜひともホームズ君セミナーにご参加ください。