Archive for 10月, 2015

東京大学 前真之先生が特別講演!ホームズ君「パッシブ設計セミナー」

金曜日, 10月 30th, 2015

「家を買った人の2大ガッカリは・・・」
こんな切り口から始まる、歯に衣着せず、具体的な事例や写真を使って説明される前先生のお話は、参加者の心をしっかりとつかみ、会場に笑いを巻き起こしていました。

 
2015年10月26日、ホームズ君『すまいのエコナビ』の発売を記念して、ホームズ君「パッシブ設計セミナー」を、前真之先生(東京大学大学院
工学系研究科 建築学専攻)を講師にお迎えして開催しました。
前先生は建築環境研究の第一人者で、日経アーキテクチュア掲載時から話題となった「エコハウスのウソ」(日経BP社発行)の著者です。「エコハウスのホントを考えよう」というテーマでご講演いただきました。
本セミナーには、アメリカ出張直後にかけつけていただきました。視察を終えたばかりの「ソーラー・デカスロン2015」についても、写真を交えてお話をしていただきました。

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講演の中で、家を建てる際、施主は間取りや自然光、耐震などにこだわり、それらには建築後も満足している一方で、「室内の温熱環境」と「省エネ性能」は、予算との兼ね合いや設計者・施工者の知識・経験不足から、満足を得られていないというアンケートの結果を紹介されていました。施主にとっては、この「室内の温熱環境」と「省エネ性能」が『2大ガッカリ』になっているのが現状のようです。

前先生は三度の飯よりサーモカメラが好きで、さまざまな物件の撮影・計測を行っているそうです。サーモ写真を撮るためには、以前は300万円をかけてサーモカメラを購入するのが当たり前でしたが、最近では5万円もせずにiPhoneやiPadで撮影ができる時代になりました。それにより、施主が自ら気軽にチェックすることができるようになり、計測方法の大衆化が(施主が性能を確認する方法の)ルールや意識を変えるかもしれないとおっしゃっていました。前先生が、iPadに接続するタイプのサーモカメラの実機を会場に回してくださり、参加者の皆さんは興味津々に実際に手に取って体験していました。

最後に前先生のお話はこう締めくくられました。省エネ・快適な家を建てるためには、まず設計する人・建てる人が納得をすること。そして自信をもって勧められなければ、施主は省エネ性能を要らないと言って当然だ。一番大事なのは住む人の幸せで、地元に密着した良い家を建てることで、良い環境になり、地域が幸せになっていくのだと。
前先生のお話は、私たちにいろいろな気付きを与えてくださいました。

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続いて、インテグラル 執行役員 藤間明美より、「パッシブ設計のすすめ」と題し、パッシブ設計とは何かということやそのメリット、インテグラルが取り組んでいるスマートワトソン君を使用した温熱環境計測調査に関してお話ししました。
これまで、耐震診断、構造のテーマに関しては、代表の柳澤が登壇していましたが、今回の省エネに関しては、女性目線の感覚で伝えた方がよいのではということで、藤間からお伝えしました。

セミナーの後半では、パッシブ設計を支援するソフトとしてホームズ君『すまいのエコナビ』(2015年11月発売予定)を紹介しました。
ホームズ君『すまいのエコナビ』を使えば、地域ごとの気象条件、季節、隣棟などの要素を考慮したパッシブ設計が行えます。燃費・太陽光発電・日影図・日射断面図・照度・日照時間・日射熱・室温・通風の9種類のシミュレーションをボタン一つでシームレスに見られるので、省エネ基準だけでは見えない住宅の性能が可視化でき、施主と共有することができます。

今冬には、発売した『すまいのエコナビ』と共に、全国パッシブ設計セミナーを開催する予定です。どうぞご期待ください!


ソーラー・デカスロン2015
2002年にアメリカで始まった太陽光住宅の国際コンペティション。
次世代の太陽光住宅を学生が設計、建設し、エネルギー効率や革新性など10部門の総合得点を競う。
開催期間:2015年10月8日~2015年10月18日
開催場所:カリフォルニア州オレンジカウンティー

東京大学 稲山正弘教授が特別講演!「中大規模木造建築のすすめ」セミナー

金曜日, 10月 2nd, 2015

ホームズ君 構造EX「トラスオプション」の発売を記念して、2015年10月2日、「中大規模木造建築のすすめ」と題し、稲山正弘先生(東京大学大学院 木質材料学研究室 教授)を講師にお迎えした、特別セミナーを開催いたしました。

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稲山先生には、経験やノウハウを元に、「改訂版JIS A3301による標準化と、流通材とプレカットを用いた中大規模木造建築の実施例」というテーマでお話しいただきました。
お話の中に、設計者が中大規模建築を木造で造りたいと思う理由がいくつか出てきました。「木の良さを室内空間に見せられる」こと、「木の構造体そのものが空間のデザインになっている」ことなど、柱や梁を見せた美しい空間を作れるのが木造の大きな魅力です。

また稲山先生は、セミナーに参加されていた、地域の工務店や設計事務所の皆さんに期待しているとおっしゃっていました。特に地方では木造構造技術者が不足しがちで、大手に頼むと、特注の大断面で設計するため、費用が高くなりがちです。地域の木造住宅を手がける工務店が設計に携われれば、普段頼んでいるプレカット工場で加工でき、メンテナンスも地元でできるという利点があります。

それにもかかわらず、これまで中大規模木造建築の場合、コストや防耐火の法規制、標準設計ツールがないなど、木造はRC造やS造よりもハードルが高いと敬遠されがちでした。
そこで稲山先生は、代表理事を務められている(一社)中大規模木造プレカット技術協会にて、改訂版JIS A3301による設計・施工の標準化と、流通材とプレカット加工を用いた「木造軸組標準工法」を提案しました。それにより、経済的かつ木の魅力に富んだ中大規模木造建築が可能になります。

さらに、軸組構法が世界にいかに誇れるものかということをおっしゃっていました。軸組構法は他の工法のいいとこ取りをして進化していきました。1970年代から2×4工法が輸入され世界的にシェアを拡大していく中、2×4工法に負けなかったのは先進国では日本だけという話は、とても印象に残りました。

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講演の最後には、(公社)日本建築士会連合会の「新国立競技場“屋根構造の木造化”に向けた提言」についてもお話しいただきました。2015年6月当初、2520億円という巨額の総工費が問題になりましたが、そのうち屋根にかかる費用は900億円でした。それが、2015年8月末のこの提言においては、木造屋根の費用は150億円で、大幅に削減可能になります。
新国立競技場の屋根構造の木造化(さらに市場に流通する木材のみで実現)は、「日本の木の文化」を広める最高の機会につながると稲山先生はおっしゃっていました。

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次に、村上木構造デザイン室代表の村上淳史氏には、「中大規模木造建築における構造計画」についてお話しいただきました。
中大規模木造の非住宅建築は住宅用の材料や構造計算ソフトをうまく利用することで、逆に住宅建築は、標準化された中大規模木造のトラスなどを使用することで、安価で優れた建築を行うことが可能とおっしゃっていました。

そして最後に、ホームズ君 構造EX「トラスオプション」(2015年10月発売予定)を紹介しました。「トラスオプション」を導入することで、学校や幼稚園、事務所や店舗、倉庫など、大スパンの物件にも対応できます。スパン20mまでの「キングポストトラス」や「壁倍率15倍の面材耐力壁」「高耐力の柱脚金物」に対応し、将来的には、平行弦トラスなど、トラスの種類を増やすことで利用範囲を拡大していきます。

稲山先生のお話からは木造建築に対する熱心な想いを感じることができました。参加者の方々にも木造建築のすばらしさ、中大規模木造建築の可能性を感じていただけたのではと思います。