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【特別セミナー】熊本地震から学ぶ「これからの木構造と耐震性能の見える化」

水曜日, 3月 1st, 2017

2017年2月28日(火)、木造建築の耐震性・構造設計法研究の第一人者である大橋好光先生と、国土技術政策総合研究所主任研究官の中川貴文先生を講師にお招きした特別セミナーを開催いたしました。当日はホームズ君シリーズのユーザー様を中心に200名近い方にご参加をいただきました。

  

 

第1部:【特別講演】大橋好光先生「設計者のための木構造再入門」

  

熊本地震の被害状況や阪神淡路大震災から今日までの調査、研究を踏まえ、木構造の基本についてお話いただきました。

現行の建築基準法が想定する「大地震」は、概ね300~400gal程度の加速度と言われています。この加速度を1996年に計測震度に変更された「震度」に当てはめると、震度6弱~6強の下の方になります。建築基準法を守っているだけでは、震度7で倒壊しないとは言えないということになります。(実際に建築基準法ぎりぎりで建てた建物が、震度6強で倒壊した例をご紹介いただきました)
「自宅を建築基準法ぎりぎりで建てている木構造の研究者はいません」と大橋先生。あくまで建築基準法は最低限の基準であると強調されていました。単純に壁量だけを満足しているだけでは不十分であると。
建築基準法の大地震への目標性能は、「倒壊を防いで、命を守ること」。しかし、「命を守れればよい」のは昔の木造の性能が低かったからであり、今とは状況が異なります。今の木造住宅に求められているのは、大地震で「壊れない」建物ではなく、「倒れない」、「地震後も補修して住み続けられる住宅」です。
また、大橋先生は現行の建築基準法の問題点も提起されました。「建築基準法と住宅性能表示の壁量計算の考え方には不整合(建築基準法の壁量には、地震地域係数や多雪区域の必要壁量割増し、部分2階建ての考慮、準耐力壁の考慮がありません。また、床面積の取り方も異なります。)があり、そろそろ合わせた方が良い」とも。
これからの建物の性能は「自分で決める時代」になります。木造住宅の重量は軽いので、耐震性能を高めることは難しいことではありません。構造用合板の釘間隔を半分にするだけでも、壁の耐力は約1.8倍に上げることができます。釘の本数を増やして耐力を上げ、基礎直結のホールダウン金物を増やしたとしても費用の増加は20万円程度。これだけの費用追加で、耐震性能の高い「地震後も住み続けられる住宅」ができるならば、安いものです。
最後に、「現在の構造の基準は鉄骨やRCの業界が元になってできたものなので、今後は木造の業界から耐震等級4や等級5を提案していければ」と締めくくられました。

 

第2部:【特別講演】:中川貴文先生「wallstatによる木造住宅の耐震性能の見える化」

  

wallstatは、中川貴文先生が開発された、数値解析プログラムです。パソコン上で建物の立体骨組によりモデル化し、振動台実験のように地震動を与える時刻歴応答解析により、地震時の木造住宅全体の損傷状況や倒壊仮定をシミュレーションします。
中川先生は、熊本地震の被害状況を踏まえ、接合部の性能が不十分だった場合や震度7の地震が2回あった影響などについて、wallstatによるシミュレーションを交え解説されました。例えば接合部の性能が不十分だった場合、wallstatのシミュレーションでは、壁が破壊されるよりも先に柱脚が外れるなど、実際の被害に近い状況が表示されました。
本セミナーに参加された方からは、「wallstatのシミュレーションにより耐震性能が明確に見える化され、施主への説明に効果が期待できる」との声を多数いただきました。

インテグラルは、このwallstatとホームズ君「構造EX」が直接、データ連携できるオプションを開発しました。これにより、ホームズ君「構造EX」で入力された建物をwallstat側での追加入力少なくwallstatでシミュレーションすることが可能となります。実際の地震波を用いたシミュレーションですので、より明確に耐震性能を「見る」ことが可能となります。

 
セミナー終了後も活発な質疑応答があり、関心の高さを物語っていました。

現行の建築基準法の問題点を踏まえ、木造住宅の耐震性能を今後どのように考えていくべきか、大橋先生の講演と中川先生のwallstatシミュレーションにより、明確なビジョンが見えたのではないかと思います。

今後も商品やセミナーを通して、皆様のお役に立つ情報を発信してまいりますので、ご期待ください。

参考リンク)
NHKにて放送された「住宅耐震の落とし穴」について取材に協力しました 2017.1.25

ホームズ君「構造EX」時刻歴応答解析機能を追加~wallstat(木造住宅倒壊解析ソフトウェア)と連携~ 2016.12.21

日本の住宅をもっと強く!もっと暖かく!
木造住宅の「H28省エネ基準&ZEHセミナー」

木曜日, 1月 19th, 2017

木造住宅の「H28省エネ基準&ZEHセミナー」を大阪(1/11)、東京(1/17)、で開催しました。
本セミナーは、2016年11月からインテグラルが推進している『日本の住宅をもっと強く!もっと暖かく!』プロジェクトの一つ「よくわかる木構造セミナー」の第3弾です。

東京、大阪ともに多くの方にご参加いただきました。2020年の省エネ基準適合義務化まで残りわずか、待ったなしの緊張感と取り組みへのやる気が熱く感じられるセミナーとなりました。

  

第1部は、省エネ関連の基準および最新動向がテーマです。平成28年4月1日より「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が施行され、平成28年省エネ基準が規定されました。外皮性能の計算では、窓の日射熱取得率(η)の計算時に、窓枠の性能を考慮することになりました。そのため、同じガラスであっても、樹脂製や金属製など窓枠の違いによって日射熱取得率(η)が変わってきます。また、一次エネルギー消費量の計算では、計算で用いる外皮性能の値が、q値、mC値、mH値から、UA値、ηAC値、ηAH値に変更されました。設備については、ガス給湯器を「従来型」と「潜熱回収型」に区別したり、照明でLED照明を選択可能にするなどの変更が行われました。大きな変更ではありませんが、「良く分かっていなかった」「知らなかった」という声がまだまだ聞かれました。

第2部では、ホームズ君「省エネ診断エキスパート」を使用して、実際にZEHを達成するまでの操作を説明しました。ZEHを達成するには以下の基準を満たす必要があります。

  1. 外皮強化基準UA値(東京などの地域6では0.60)を満たす
  2. 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減
  3. 再生可能エネルギーを導入
  4. 再生可能エネルギーを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減

1.を満たすためには、外壁や天井に高性能グラスウールを用いたり、樹脂サッシの窓を用いるなどの強化が必要です。2.を満たすためには、高効率設備の採用が必要です。特に暖冷房と給湯で性能の良いもの(消費効率が「い」となるエアコン、エネルギー消費効率が94%以上のガス給湯器など)を用いると達成しやすくなります。3.は太陽光発電の導入が必要です。ホームズ君「省エネ診断エキスパート」では、ZEH達成にどの程度の容量(kW)が必要で、太陽光パネルが何枚必要か、というシミュレーションができますので、簡単に検討することができます。
ZEHは何をしたらよいのかよくわからない、という方は、今回のセミナーでその全体像を掴んでいただけたと思います。

ZEHについては現在「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)普及加速事業費補助金」があり(現在、三次公募がおこなれています。公募期間:平成29年1月23日~平成29年2月17日)、基準を満たすことで一戸あたり定額125万円の補助金を利用できます。要件としてZEHビルダーへの登録が必要となりますが、本セミナーに参加された方の中にも、既にZEHビルダーに登録している方がいらっしゃいました。

今後、ホームズ君「省エネ診断エキスパート」は、EESLISMエンジン(動的熱負荷計算エンジン)と連携し、建物の外皮性能だけでなく、日射熱(隣棟の日影も考慮)や内部発熱(照明、家電)、在室人数による人体発熱、湿度や夜間放射等を考慮した、より精緻な室温シミュレーションが可能になります。気象条件や生活スタイルを考慮した住宅の設計、太陽エネルギーを活かしたパッシブ設計に活用できるようになります。3月の「パッシブ設計のすすめ」セミナーにてより詳細に解説いたしますので、ご期待ください。

日本の住宅をもっと強く!もっと暖かく! 
ホームズ君 震度7に負けない木造住宅「耐震等級3のすすめ」

木曜日, 12月 1st, 2016

『震度7に負けない木造住宅 耐震等級3のすすめ』を大阪(11/24)、東京(11/30)で開催しました。本セミナーは、インテグラルが推進する『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!プロジェクト』に基づいて開催される技術セミナーの第1弾です。

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2016年4月の熊本地震では、28時間以内に震度6強の地震が1回、震度7が2回続けて発生し、2000年以降に建築された木造住宅においても、大破・倒壊の被害が確認されました。
現行の建築基準法では、「極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強~7程度)に対して、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないこと」が前提となっています。しかし、基準法で想定している「大規模の地震」の加速度は300~400gal程度といわれており、現在の計測震度においては震度6弱~6強の下の方に該当します。震度7の地震に対しては、建築基準法を守るだけでは、耐震性が十分とは言い難い可能性があります。
品確法住宅性能表示における耐震等級で、等級3は、「数百年に一度発生する地震(東京では震度6強~震度7程度)の1.5倍の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震(東京では震度5強程度)の1.5倍の地震力に対して損傷しない程度」とされています。そのため、これからは「最低でも耐震等級3」という考えを視野にいれるべきかもしれません。
セミナー参加者の中には、既に耐震等級3を標準として設計している、という方も多数いました。他にも、熊本地震の後、耐震性に対して施主の関心度が上がっていることや、今自分の設計している建物の耐震性がどの程度のものなのか、より意識するようになった、というお話をうかがいました。

さて、耐震等級3を目指す上で重要なのが水平構面(床倍率)の検討です。
そもそもなぜ水平構面の剛性を確保するのかといえば、耐力壁の存在する各通りに地震力がかかったとき、水平構面の剛性が弱いと通りごとに変形量が異なり、建物にねじれが生じてしまうためです。それを防ぐために、水平構面に剛性を持たせ、各通りにかかる地震力を均等に分ける必要があります。
水平構面(床倍率)の検討においては、まだまだその考え方や等級のクリア方法などが浸透していないと思われます。ホームズ君サポートセンターにも、床倍率の等級を満たすにはどうすればよいのか、という問合せをよくいただきます。そのため、本セミナーでは、特に重点的に、床倍率の検討内容について解説いたしました。床倍率の基本は「耐力壁線」で区切られた床区画ごとに「必要床倍率」と「存在床倍率」を比較することです。各床区画に対して、「存在床倍率」が「必要床倍率」を上回っていればよいのです。実際に、「必要床倍率」が大きくなってしまうパターンや、存在床倍率が下がってしまうパターンなど、各パターンに対応した等級クリア方法を解説いたしました。

ホームズ君すまいの安心フォーラムでは、『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!プロジェクト』に基づき、各テーマに沿ったセミナーを月替わりで開催いたします。今後もホームズ君のセミナーにご期待ください。

インテグラル創立30周年記念セミナー 『日本の木造住宅を強くしよう』~熊本地震被害に学ぶ~

木曜日, 9月 29th, 2016

木質構造のスペシャリスト、宮澤健二先生(工学院大学 名誉教授)と大橋好光先生(東京都市大学工学部教授)を特別講師にお迎えし、インテグラル創立30周年記念セミナーを開催いたしました。当日はホームズ君シリーズのユーザー様を中心に300名近い方にご参加をいただきました。

特別講演1:宮澤健二先生「熊本地震被害を建物調査と設計図書から読み解く」
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宮澤先生は、平成28年熊本地震発生直後から現地入りをされ、倒壊・崩壊した木造住宅の原因について調査・分析をされています。
熊本地震では、阪神淡路大震災(1995年)以降に培われてきた耐震工学にのっとって設計された建物(特に2000年以降に建てられた建物)にも被害がありました。それに対して工学的な視点で建物被害の調査・分析を行えたことが、耐震工学の進歩、調査・分析方法の進歩、木造の限界状態の見極めなどの観点から重要である、とおっしゃっていました。

また、木造住宅に関わる改善すべきことを「建築基準法の根幹」「基準法施行令の基本的問題」「施行令46条壁量計算」の3つの視点からお話されていました。建物重量や計算対象の床面積、軟弱地盤や雑壁の扱いなど、4号特例や施行令46条壁量計算が抱える問題を改めて認識することができたと思います。
「建築基準法の根幹」では、想定する地震動を震度7まで上げるよりも、住宅性能表示制度の耐震等級2や耐震等級3を満たすなど、自主的判断で耐震性を向上するよう、優遇措置を含めて推進し、また、単純に必要壁量を増改訂するのではなく、靭性型、構造計画等により実態強度の向上をはかるべきとも仰っていました。

特別講演2:大橋好光先生「設計者のための『木造住宅の耐震性能の考え方』」
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建築基準法を守っていれば、震度7でも木造住宅は壊れないのか?
建築基準法と木造住宅について「震度」と「壁量」の問題点と改善点をお話いただきました。

「震度」は1996年に計測震度に変更され震度のレベルが変わりました。建築基準法が想定する「大地震」は、300~400gal程度の加速度と言われてきましたが、計測震度に変更後はこの加速度では震度6弱~6強の下の方になります。そのため、建築基準法は震度7までは想定していないことになります。建築基準法を守っているだけでは、震度7で倒壊しないとは言えないということになります。

「壁量」について、施行令46条壁量計算の必要壁量は、住宅性能表示の壁量計算などで必要な耐力の3/4程度しかない。これは施行令46条壁量計算が前提としている建物の荷重が、住宅性能表示の壁量計算などと比べて軽いことが影響しています。
また、はだか筋かいでは想定している壁倍率が発揮されないことにも言及されていました。これは圧縮筋かいが座屈するので靭性がないためです。

建築基準法では「大地震に対して建物が倒壊せず、命を守ること」が目標となっています。
しかし現在では「大地震後も住み続けられる家」が望まれていると言えます。建築基準法の壁量計算を満たしているだけでは、不十分と言えます。

木造住宅は軽いので、耐震性能は上げやすい・・・建物の耐震性能は、自分で決める時代に入っていると、大橋先生は仰いました。
耐震性能を高める方法として、構造用合板の釘間隔を半分にする(耐力が1.8倍UPする)、内装下地の石膏ボードを準耐力壁仕様にする、といった具体的な方法にも触れられていました。さほど費用をかけなくても、壁を増やさなくても、耐震性を上げることができます。
最後に、「木造業界から耐震等級4や等級5を発信して倒壊被害をなくそう」そう提案されて締めくくられました。

そして、パネルディスカッションのテーマは「日本の木造住宅を強くしよう」です。特別講演をいただいた宮澤先生、大橋先生に加え、インテグラル代表取締役の柳澤泰男がパネリストとして登壇しました。コーディネータは、日経ホームビルダー 編集者である荒川尚美さんです。荒川さんは熊本地震担当記者として何度も現地に足を運び特集記事を執筆されています。

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既存住宅の耐震化を促進するにはどうすればよいか。耐震診断の時間をより短くする、リフォームのタイミングで一緒に行うなど、より抵抗なく耐震診断を受けられるよう診断法も変えていく必要があることなどが話し合われました。
新築住宅については、震度7の地震が発生しても住み続けられる家にするには、壁量をどこまで上げればよいのかなどが話し合われました。建物にねばりを持たせる、地震動と建物の性能をもう一度整理し直した方がよい、雑壁についても考慮するなどのお話がありました。大橋先生からは「これからは住宅性能表示制度の耐震等級3を最低基準と考えるべき」との提案がありました。

お二人の先生のそれぞれの視点から語られる講演は、今後の木造住宅を作っていくうえで、大変参考になるものだったと思います。
震度7の地震が発生しても住み続けられる家、それを実現するためにどのように耐震性を高めていくのか、よりいっそう高い意識をもって取り組んでいかねばならないと感じました。

弊社は30周年という区切りを迎えました。ホームズ君シリーズやすまいの安心フォーラムを通して、さらに皆様のお役に立てるよう努力してまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【前真之先生 特別講演】ホームズ君でつくる「エコハウス」セミナー(8/25大阪)

金曜日, 8月 26th, 2016

建築環境研究の第一人者である東京大学 前真之先生を特別講師にお迎えし、大阪でホームズ君でつくる「エコハウス」セミナーを開催しました。

2020年には省エネ基準適合住宅の義務化、2030年までに標準的な新築住宅の半数でZEHとするなど、省エネの方向性が示され関心が高まっています。その中で、本当のエコハウスとして何を目指すべきなのか、前先生の最新の知見と実験のデータをまじえながらご講演いただきました。

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エコハウスとは、誰もが末永く快適に住める住宅。その地域に住み続けられることが目標となります。
大手ハウスメーカーは全国一律で同じUA値をクリアする建物を提供します。そのため、単純にUA値の基準値達成だけでは、地元工務店は太刀打ちできません。しかし、例えば、日本海側と太平洋側では日照時間に差があります。太陽の熱をいかすために窓の位置・大きさをどうするのか、建物内の最低気温は何℃を確保するのか、その地域にあった検討と設計が必要になります。そこに地元工務店の可能性もでてきます。
また、敷地が決まった後の初回の打ち合わせで施主に何を提案できるのか。設計変更にかかる追加コストは、後半になるほど爆発的に上昇します。初期設計の段階で、地域や周辺の建物状況を考慮し、日当り、室温、熱負荷の目安が見えるとベストです。太陽をまじめに考えた非定常計算を行い、その地域に合った建物をつくってゆくこと、それが重要と前先生は締めくくられました。

第二部は、「敷地のパッシブパワーを活かせ!パッシブ設計のすすめ」です。パッシブ設計の考え方、そして、「日当り=太陽の力」を生かす設計ツールとなるホームズ君「省エネ診断」の敷地・日当りナビをご紹介しました。

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敷地・日当りナビを使用することで、日当りの良し悪しを知ることができます。日の当り方によっては、冬の室温が大きく異なってきます。構造の検討に入る前に、隣棟などの周辺状況、気象条件などを検討することが重要です。敷地・日当りナビでは、日影(光の日当り)と日射熱(熱の日当り)の2つの観点から3D表示でシミュレーションすることができます。これらの観点から、最適な外壁ラインを検討することができるようになります。
※詳細はこちらのページを参照ください。

また、ホームズ君「構造EX」においても、構造の検討前に概算UA値を計算する機能が追加されました。あらかじめ省エネにおけるUA値をある程度把握した状態で構造の検討を行なうことで、省エネでUA値がクリアしないなどの不都合が生じた場合の手戻りをなくすことができます。
※詳細はこちらのページを参照ください。

ホームズ君「省エネ診断」の機能を活用いただくことで、パッシブ設計が行ないやすく、かつ施主にも見える形で伝えることができるようになります。前先生がおっしゃった、その地域に合った建物をつくってゆくこと、これを実現していくために、是非活用いただければと思います。

本セミナーを通して、エコハウスについて皆様の関心が少しでも高まったのであれば幸いです。今後も有意義なセミナーを企画してまいりますので、是非ご参加いただければと思います。

実例に学ぶ!ソフト実習付き 許容応力度計算セミナー

木曜日, 7月 21st, 2016

2016年7月20日、インテグラル開発センター(茨城県つくば市)にて、「実例に学ぶ!ソフト実習付き 許容応力度計算セミナー」を開催しました。

セミナー会場  セミナー会場

本セミナーでは、ホームズ君「構造EX」を使い、実際に許容応力度計算を行う際の流れ(伏図入力、許容応力度計算の検定NG解消など)を体験していただきます。モデルプランは、インテグラル開発センター(木造3階建ての事務所)です。許容応力度計算ではどのような計算を行っているのか、実際に参加しているセミナーの会場が入力の対象ということで、参加者の皆様にとっては、入力内容のイメージがしやすかったようです。

許容応力度計算は難しいと考えていらっしゃる方が多いと思います。しかし、ホームズ君「構造EX」はソフトを使いながら学べるよう作られていて、また、セミナーでは不明点をすぐ質問できます。セミナー終了時には、一通りのことをご理解いただけるように構成されています。本セミナーは、購入後間もない方、これからホームズ君構造EX」の購入を考えている方向けのセミナーとなります。許容応力度計算は行っていないが、どういったソフトなのか、実際に試してみたい、という方も歓迎です。ホームズ君にご興味を持たれた方は、是非、セミナーに足を運んでいただければと思います。

ホームズ君「地震被害に学ぶ!耐震等級3のすすめ」

金曜日, 7月 15th, 2016

ホームズ君「地震被害に学ぶ!耐震等級3のすすめ」を大阪(6/23)、名古屋(6/24)、東京(7/7、7/14)にて開催いたしました。

会場の様子  CIMG2794-2

「建築基準法」は、大きな地震が発生するたび、強化されてきました。宮城県沖地震後の1982年には建築基準法施行令の大改正が行われ、必要とされる耐力壁の量が従来から約38%割り増しされた「新耐震基準」が設けられました。その後、兵庫県南部地震を受けて2000年には「新耐震基準」が強化され、地耐力に応じた基礎仕様の明確化、四分割法や偏心率による耐力壁の配置規定、柱頭柱脚接合部の金物の必須などが盛り込まれました。
しかし、2016年4月に発生した熊本地震では、震度6強から震度7の地震が短期間に立て続けに発生したことで、2000年以降に建築された木造住宅においても、倒壊・全壊の被害が確認されました。今後、震度7の地震に負けない家にするためには、どこまでの耐震性を求めればよいのでしょうか?
その答えの一つが、品確法で定められている耐震等級3(極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊しない)を満たすことと考えられます。本セミナーでは、インテグラルが独自に行った熊本地震現地調査結果と、耐震等級3の考え方や検定方法、検定をクリアするポイント等をお伝えしました。

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インテグラルは平成28年熊本地震による建物被害、特に木造住宅の竣工年代別の被害状況と特徴の分析を目的として熊本県益城町を中心に現地調査を行い、その結果を、調査報告と倒壊分析マップとしてまとめています。
「倒壊分析マップ」では、「全壊」「半壊」「外観上被害無」の3つの分類で被害状況を見ることができます。また、Googleストリートビューを用いることで、建物の倒壊前後の様子を比較することもできます。セミナーでは、年代ごとにいくつか建物をピックアップし、その被害状況を解説しました。1981年から2000年までに建てられた住宅で筋かいに釘を打っていないもの、2000年以降に建てられたと思われるもので倒壊、変形してしまっている住宅などの写真も公開しました。

また、本セミナーでは、被害にあった益城町の住宅で、実際の図面を入手できたものについて、「柱・壁の直下率」「性能表示壁量計算」「床倍率」「梁せい算定」「梁上耐力壁」の観点から分析を行いました。参加者からいただいた声では、特に「柱・壁の直下率」や「梁上耐力壁」の考え方について、関心が高かったと感じました。皆様、実務に当てはめてお考えになっていたのでしょう、解説を聞きながら、大きく頷かれている方が多数いらっしゃいました。

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品確法の耐震等級3を満たすためには、床倍率の検定が必須になります。しかし、その考え方を完全に理解されている方は、もしかしたら多くないのかもしれません。セミナーの後半では、床倍率のそもそもの考え方や、床倍率の耐震等級3をクリアするポイント等をお伝えしました。計算の内容を聞いて、難しいと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、ソフトウェア(ホームズ君「構造EX」)を使用することで、手計算では面倒な部分(床区画の分け方や必要床倍率、存在床倍率の計算)をソフトウェアにまかせることができます。その分、設計者は耐力壁の位置や床面、屋根面の仕様の検討に注力することができるようになります。

今回のセミナーを通して、耐震等級の考え方について少しでも理解を深めていただけたのなら幸いです。今後も、セミナーやサポートセンターを通して、有益な情報をご提供してゆきたいと思いますので、ご期待ください。

【前真之先生 特別講演】ホームズ君でつくる「エコハウス」セミナー

日曜日, 6月 26th, 2016

2020年の省エネ基準の義務化やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の標準化など、省エネに関わる国の施策が次々と進められています。
そのような中、2016年6月25日、東京大学 前真之先生を特別講師にお迎えし、「ホームズ君でつくるエコハウスセミナー」を開催しました。

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前真之先生の講演テーマは、「H28省エネ基準・ZEH その先へ エコナビ活用!ホントのエコハウスをカタチにしよう」。
エコハウスで実現すべきものとして挙げられたのは、「快適・健康」「省エネ」「省CO2」の3つです。「快適・健康」=家族のため、「省エネ」=日本のため(化石燃料の消費低減)、「省CO2」=地球のため(温暖化軽減)と、おっしゃっていました。
省エネ基準で定められている外皮平均熱貫流率(UA値)だけを見て家の性能を判断するのではなく、その家がいかに快適に、末永く住めるのか、という観点で判断すべきとおっしゃっていました。特に、ここ最近は最低室温○○℃以上をキープする、という考えが主流になっており、省エネの性能よりもまず健康面を第一に考えるようになってきているとのこと。日本で真のエコハウスを実現するためには、気温の変化や断熱、蓄熱をどうするかが重要であるとのことでした。
また、エコハウスの実現に向けて、地域ごとに必要にして十分な断熱性能を持たせる必要がある、という点を強調されていました。外皮平均熱貫流率(UA値)だけでなく、各地域の気候に合わせた設計を行い、いかに太陽を利用するか。特に日本は冬場でも日射の多い気候であり、これを有効活用すればリーズナブルに安いコストで快適な生活を手に入れることが可能になります。窓の位置についても構造で決めるのではなく、太陽の位置で決めるべきということです。地域ごとの太陽の日当たりのシミュレーション、そして室温の変化を考慮した設計を行うことで、地域ごとに必要十分な断熱性能を持たせることができます。
講演は、エコハウスは特別なものではなく「家」とはなによりも家族に幸せにくらしてほしいという願いで建てるもの、省エネ基準を満たすよりも快適さや健康を第一に考えること。そして誰もがその場所に安心して末永く幸せに住み続けられることが重要と締めくくられました。

前真之先生の特別講演に続き、インテグラル 執行役員 藤間明美が「日当たり重視の高断熱住宅の作り方」について講演を行いました。
エコハウスを考えるにあたり、隣棟などの周辺状況の検討が重要です。ホームズ君「省エネ診断」および「構造EX」に新たに追加される機能「日当たりナビ」では、周辺状況を考慮した日射熱や日照時間を目で見て確認できるようになります。同じ気象地域区分であっても、外気温、日射量、日射熱等は大きく違ってくる場合があります。壁・窓のラインはどこがよいのか?南の隣棟からの距離をどれくらいとるのか?日当たりをどう活かすか?眺望は?。「日当たりナビ」のシミュレーション結果を見ることで、具体的な構造の検討や外皮設計を始める前に、ある程度の日当たり状況を把握でき、窓の位置や隣棟からの距離、日当たりや眺望などの設計に生かすことが可能になります。つまり、エコハウスの実現に必要な、各地域の気象条件に合った設計を行うことができるようになります。

今回のセミナーを通して、省エネに対する考え方が変わった、理解が深まったなどの多くのご意見をいただきました。今後も様々なセミナーを通じて皆様に有益な情報をご提供できればと思います。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

ホームズ君「木造住宅の耐震診断」再入門セミナー

土曜日, 5月 28th, 2016

ホームズ君「木造住宅の耐震診断 再入門セミナー」を大阪(5/18)、東京(5/19)、名古屋(5/27)の3会場で開催しました。
平成28年熊本地震の発生により、耐震診断・補強設計への問合せが急増するなか、建築関係者の皆様に木造住宅の耐震性能について再確認いただくべく、また知識を深めていただけるよう本セミナーを開催いたしました。

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平成28年熊本地震では、前震から本震までの28時間で震度7が2回、震度6強が1回発生しています。大規模な地震動が合計で3回、観測されました。
2016年5月14日に開催された日本建築学会「2016年熊本地震」地震被害調査速報会では、2000年以降に建てられたと思われる木造住宅においても17棟が倒壊・全壊した(最大の場合)可能性があると発表されています。

【参考】建築基準法の耐震基準の変遷
○旧耐震基準(1981年以前)
○新耐震基準(1981年~2000年)
・旧耐震基準に比べ、木造住宅で必要とされる耐力壁の量が最大で38%増加
○強化された新耐震基準(2000年以降) ※現行の基準
・基礎の仕様規定の明確化(地耐力に応じた基礎形式の選定など)
・耐力壁配置規定(4分割法または偏心率0.3以下)
・継手・仕口の仕様の明確化(柱頭柱脚接合金物必須など)

現行の基準では、中規模の地震動(震度5強程度)でほとんど損傷を生じず、また、極めてまれにしか発生しない大規模の地震動(震度6強から7程度)に対しても倒壊などの被害を生じないことを目標としています。しかし、今回の熊本地震では、4月14日の前震では無事であった建物も、4月16日の本震で倒壊・全壊したと言われています。大規模の地震動が複数回発生した場合、建物の耐震性が1回目の地震で低下する可能性が指摘されています。
それでは、今後、大規模の地震動が発生した場合にも倒壊・全壊しない建物とするには、どの程度の耐震性を目指すべきか。
その一つの目安として、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた耐震等級があります。耐震等級2は「大規模の地震動の1.25倍の地震力で倒壊・崩壊しない」、耐震等級3は「大規模の地震動の1.50倍の地震力で倒壊・崩壊しない」とされています。被害を最小限に抑えるには、耐震等級3を目指すべきということを、本セミナーではお伝えしました。

一方、国土交通省は2020年までに既存住宅の耐震化率を95%にすることを目標に掲げています。この実現には、耐震改修のペースを現在の4~5倍にする必要があります。1981年以前に建てられた木造住宅は当然として、1981年~2000年までに建てられたもの(約1100万棟)においても、耐震性能が不足しているものがあると言われています。より多くの住宅で耐震診断を行い、耐震改修まで進める、とても重要な課題です。本セミナーでは、2012年改訂版の一般診断法および精密診断法1の計算方法について解説しました。現地調査を行う際のポイントも合わせて解説しましたので、より効率的に耐震診断を進めていただけると思います。これから耐震診断に取り組もうと考えている方も多数参加されていましたので、今回のセミナーを参考にしていただければ幸いです。

ホームズ君でつくるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス

火曜日, 4月 26th, 2016

「ホームズ君でつくるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」セミナーを東京(4/19)、大阪(4/21)の2会場で開催しました。
本セミナーは、経済産業省の平成28年度ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)の一般公募と、その要件であるZEHビルダー登録申請にいち早く対応できるよう企画いたしました。参加申込み開始と同時にほぼ満席となり、追加開催のご要望など大きな反響をいただきました。

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ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について、「エネルギー基本計画」(2014年4月11日閣議決定)では、「住宅については、2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の実現を目指す」ことが明記されました。2015年12月17日には、経済産業省資源エネルギー庁「ZEHロードマップ検討委員会」が『ZEHロードマップ』を発表、ZEHの概念や達成のための要件が明確に定義されました。そして迎えた2016年はZEH標準化元年と言われています。

セミナーでは、ZEHの定義や補助事業の種類などの制度的な部分から、ZEHを達成する際の外皮や設備の設計ポイントまで幅広く解説しました。
補助事業は、国土交通省と経済産業省がそれぞれ行う予定です。経済産業省は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)」、国土交通省は「地域型住宅グリーン化事業」の中で実施されます。補助金額や補助要件等が異なるため、どちらを利用したほうがいいのかは個別に検討が必要です。

経済産業省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業(ZEH)」は、ZEHロードマップにおける「ZEHの定義」を満たしていることが交付要件です。
平成25年省エネ基準の一次エネルギー消費量の計算で求められる暖冷房や給湯、照明などの「基準一次エネルギー消費量」に対して、外皮・設備面で20%削減、そして太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入して、合計で100%以上の削減が必要となります。また、外皮性能(UA値)については、例えば東京などの6地域では、UA値を0.87から0.60まで向上させることが求められています。
一次エネルギー消費量の削減率を100%以上にするためには、太陽光パネルによる効率的な発電が重要です。
ホームズ君「省エネ診断エキスパート」の「すまいのエコナビ」では、次期バージョンから太陽光パネルの自動割付シミュレーション機能が追加されますが、今回のセミナーでは、その機能を紹介いたしました。ホームズ君などソフトウェアを使用することで、計算に要する時間を短縮できます。その分の時間を、ぜひ仕様検討などに費やしていただければと思います。

セミナー後、参加者から、「曖昧だったZEHの定義や補助金の内容が理解できた」「ZEH達成のために、外皮性能をどれだけ強化すればよいか、暖冷房や給湯などの設備仕様は何を選んだらよいか、太陽光パネル導入の考え方などが聞けてよかった」などの感想をいただきました。国は、ZEHが新築住宅の標準となることを目指しています。弊社も、ソフトウェアおよびセミナー等を通して、ZEHの普及に助力していきたいと考えます。
今後も、ZEHに関するセミナーを企画・開催していきます。