【特別セミナー】木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!(大橋好光先生、山辺豊彦先生、岩崎駿介先生、伊礼智先生、松井郁夫先生)

インテグラルは、木造住宅の構造検討、省エネ計算および温熱環境検討のできるソフト「ホームズ君シリーズ」を開発・販売しています。そして、2020年に向けて『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!』プロジェクトを展開しています。
この度、このプロジェクトの一環として、2018年2月28日と3月1日の2日間にわたって、以下の特別セミナーを開催しました。両日とも200名近い皆様にご参加をいただきました。

まず、第一日目の『よくわかる木構造』は、木質構造のスペシャリスト、大橋好光先生(東京都市大学工学部教授)と山辺豊彦先生(山辺構造設計事務所所長)を特別講師にお迎えして開催いたしました。

■特別講演1:大橋好光先生『「熊本地震と耐震基準」~大地震後も住み続けられる木造住宅~』

大橋先生には、熊本地震以来、想定すべき地震被害と設計についてどのように安全性を担保していくか、現行の基準法や性能表示制度(耐震等級)などの各設計基準の解説をいただきました。その上で、大橋先生は、「木造住宅は軽いので耐震性能は上げやすい、また、建物の耐震性能は施主が自分で決める時代に入っている」とも述べられました。そして、耐震性能を高めるために今すぐできる方法として、「壁倍率を1.5倍にする」「構造用合板の釘間隔を半分にする(耐力が1.8倍UPする)」「内装下地の石膏ボードを準耐力壁仕様にする」といった具体的な方法も紹介していただきました。これは、壁を増やすことなく、費用もさほどかからずに耐震性を上げることができる方法です。最後に、「木造業界から耐震等級4や等級5を発信して倒壊被害をなくそう」そう提案されて締めくくられました。

■特別講演2:山辺豊彦先生『ヤマベの基礎の構造設計入門』
山辺先生からは最初に、基礎の設計について、「そもそも仕様規定しかないが、それ自体がまずい。壁量計算、壁配置バランス、N値計算など簡易な計算は法律上では仕様規定の位置づけでしかない。かといって構造計算を丸投げするのもよくない。全ての意匠設計者に学んでほしい」というエールがありました。その後、木造建物における基礎の役割や発生しうる被害の話、地盤調査の方法とそのデータの読み方、そして、基礎は建物の上部構造の平面計画と連動させる必要があるとした上で、基礎梁、地中梁の設計方法について、また、施工監理の要点など解説いただきました。まさに、山辺先生が長年、図書を執筆されてきた知識とノウハウについて、つまり、木造住宅の基礎・地盤に関して、全体を俯瞰できるような内容で、大変充実していました。
 

翌日、二日目は『家づくりに美しさを!耐震性・温熱性への取組みとその先の可能性』として、都市計画のスペシャリストであり、国連でスラム問題、国際協力NGOでは地球環境問題にも取り組まれ、自邸『落日荘』(JIA2011年度環境建築賞最優秀賞受賞)をセルフビルドされた岩崎駿介先生、性能の先の心地よさの伊礼智先生、伝統構法を守りつつ温熱も解決された松井郁夫先生を特別講師にお迎えして開催いたしました。
  

■基調講演:岩崎駿介先生『家づくりに「美しさ」を!』
都市デザイナーから落日荘建設に至るご自身の建築への思想、落日荘を事例に新住宅建築の10か条について、緻密、かつダイナミックに解説いただきました。そして、『「建築の美しさ」というときの「美しさ」とは、「関係性」の実現、または表現である。そして建築設計とは、人と人との「関係性」の演出である。孤独(プライバシー)から共感に至る「コミュニケーション」の演出である。』とお話しいただきました。先生の破天荒な生き方に圧倒されるも、地球で生きることとは?という壮大なテーマと住宅が結びつく、素晴らしいご講演でした。

■特別講演3:伊礼智先生『町の家の「あいだ」を考える』
先生のご出身である沖縄の原風景から始まり、沖縄の”ひんぷん”や”あまはじ”といった事例をもとに「あいだ」について様々解説いただきました。また、ご自身が卓越させていったスケッチの数々。ただ見惚れるばかりでした。後半は、近年の代表作をもとに、条件と設計プロセス、耐震性・断熱性といった性能の確保についても詳細に解説いただき、そして、「設計ってどれだけ外部を取り入れるかでしょ!」とまとめられました。先生の感性・建築の力、そして、その設計力の力強さが、柔和な語り口とは対照的に印象に残るご講演でした。

■特別講演4:松井郁夫先生『住まいは古民家からやってきた むかしといまをみらいへつなぐ』
古民家という日本の伝統建築の魅力を、意匠・耐震性能(減衰)・環境との調和、現代工法との違いからご説明いただきました。また、リノベーションや木組の家の事例をもとに、伝統構法のよいところ、温熱性能の改善(UA値0.44)、また、山・木と職人を守る仕組みとしての『「き」組ワークショップ』のご紹介をいただきました。木造住宅の生産フローの全工程を見通した内容に、先生の幅広いご経験・知識、人脈を彷彿させられました。

また、両日とも、ホームズ君すまいの安心フォーラムの会員様と講師の先生方との懇親会も開催いたしました。先生方の素晴らしいご講演のあとで、興奮気味の参加者の方々との情報交換も盛況のうちに終えることができました。

弊社は今後も、『日本の木造住宅をもっと強く!もっと暖かく!』をスローガンに、ホームズ君シリーズやすまいの安心フォーラムを通して、さらに皆様のお役に立てるよう努力してまいります。