震度7に負けないための「木造住宅構造計算入門」セミナー

東京会場は7/5、大阪会場は7/12、そして名古屋会場は7/26に、「震度7に負けないためのホームズ君木造住宅構造計算入門」セミナーを開催いたしました。

木造住宅に大きな被害をもたらした熊本地震の発生を受け、耐震性への関心が高まっています。また、その要求水準も震度7の地震に複数回あっても、単に倒壊しないだけでなく、軽微な補修などで住み続けられるレベルが求められるようになってきました。
具体的には、施主が自ら『耐震等級3』を希望したり、工務店・ビルダー、建築設計事務所などの木造建築の設計・施工の実務者においては、「建築基準法は最低の基準」であり、「最低でも耐震等級3」「許容応力度計算でより実状をふまえた安全性の確認」といった取り組みがなされています。このような状況を踏まえ、これから構造計算(許容応力度計算)をはじめようとする木造建築関係者を対象とした構造計算セミナーがこの度の「ホームズ君 木造住宅構造計算入門」です。
参加者は、意匠系の方、構造系の方、リフォームを中心に行なっている工務店の方など様々です。参加者の多くはこれまで許容応力度計算等の構造計算は行ったことがないとおっしゃる方々でしたが、もっと構造のことを理解し、活用しようという思いで参加されたようです。

東京会場

大阪会場

名古屋会場

【第1部】
震度7に負けないための「木造住宅構造計算入門」

第1部ではまず、構造計算の種類とその特徴を解説しました。
構造計算の種類としては、許容応力度計算、許容応力度等計算、保有水平耐力計算、限界耐力計算、時刻暦応答解析などがあります。建築基準法上は、許容応力度計算が一次設計、保有水平耐力計算が二次設計とされています。許容応力度計算では「中規模の地震動(震度5強程度)でほとんど倒壊しない」ことを検証し、保有水平耐力計算では「大規模の地震動(震度6強~7)で倒壊・崩壊しない」ことの検証を行ないます。限界耐力計算は時刻暦応答解析の簡易版に当たります。これらは、建物の規模や工法の違い等により使い分けることになります。

木造住宅において、その耐震性を検討するための方法として、主に建築基準法の壁量計算、品確法住宅性能表示の耐震等級、そして許容応力度計算があります。この中で、建築基準法で定められた基準は、最低基準であることをまずは認識する必要があると言えます。大きな違いの一つとして、想定している建物の重量が違う点があります。建築基準法の方が想定している建物の重量が軽いのです。その分だけ、建物が負担する地震力も小さくなっています。また、建築基準法では水平構面の検討がなされていません。水平構面の剛性が低いと、地震力を受けた際、壁の変形量が各通りで異なり、建物にねじれが発生してしまう可能性があります。建築基準法には様々な脆弱性があると言えます。

許容応力度計算では、構造上主要な部分ごとに、「応力度が許容応力度を超えないこと」を確認します。生じる応力度(kN)÷許容応力度(kN)が1.0以下であれば、検定OKとなります。本セミナーでは、許容応力度計算を行う上で基本となる「地震力の求め方」そして、「鉛直構面」「水平構面」「基礎」の検定方法について解説しました。特に「基礎」の計算は難易度が高めであり、サポートセンターにも問合せが非常に多く寄せられる項目です。特にべた基礎の場合の接地圧や人通口の検定NGの解消が難しいと感じられている方が多いようです。各セミナー会場においても、スタッフに解消方法について質問される方がいらっしゃいました。検定NGを解消する近道は、まずはどのような内容で計算されているのかを把握することから始まるといえます。今回の講習で、実際にどのような計算を行なっているのかが掴めたのではないかと思います。

  

  

今回のセミナーでは、新しく資料をまとめなおし、図やグラフを用いて計算内容をまとめました。文章や数式を眺めるだけでは分かりにくい部分も、これでイメージしやすくなったのではないかと思います。

  

インテグラルは、ホームズ君「構造EX」wallstat連携オプションを使用し、地震波や建物の耐震性など、様々な条件でシミュレーションを行っています。本セミナーではその分析結果を解説しました。
分析の結果として分かってきたのは、建物の「余力」の考え方です。ここで「余力」とは、「面材拘束効果(座屈抑制)を考慮した筋かい」「外壁仕上(モルタル塗りや窯業系サイディング)」、「内壁仕上(石こうボード)」を想定しています。余力を考慮しない建物の場合は、例え耐震等級3の耐震性があっても、熊本地震の地震波で倒壊、大破しました。対して、余力を考慮した場合、耐震等級3であれば倒壊しないなど、実際の被害状況に近い結果となります。wallstatは高度なプログラムですが、正しい結果を表示するためには、必要な情報を全て入力する必要があります。wallstatの結果を鵜呑みにするのではなく、シミュレーションの結果を適切に判断するためには、やはり構造計算の基本を理解しておく必要があると言えます。

※木造住宅の耐震性能や地震波に対するwallstatのシミュレーション結果の傾向と分析についての詳細はこちらをご参照ください。

【第2部】
使いながら構造計算が学べるソフト ホームズ君「構造EX」で許容応力度計算をマスター!

  

第2部では、『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』2017年版の変更点や、wallstat連携オプションの具体的な操作方法を解説しました。『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』2017年版の変更点への関心は高く、これを目的に参加された方も多く見受けられました。
また、ホームズ君「構造EX」の許容応力度計算オプションを使用した際の操作ポイントもご紹介しました。サポートセンターによくご質問いただく内容をもとに、具体的な操作方法や検定NGの解消方法をご紹介しました。時間の都合で全てのポイントをお伝えすることはできませんでしたが、配布資料には様々なパターンを記載しましたので、ご参考にしていただければと思います。

参加者からは、「構造計算の全体像が分かった」「水平構面や基礎の計算で行なっていることが分かった」とのお声をいただきました。一方で、「説明を聞いたけれども難しい」「もう少し概要的な話だと思っていた」と思われる方もいたようです。また、ホームズ君「構造EX」を使用した具体的な検定NG解消法を期待されていた方もいました。今回のセミナーは構造計算入門編ということで、構造計算の基本について皆様には見ていただけたと思います。今後は、許容応力度計算の詳細なセミナーや、検定NG解消法を紹介する操作に特化したセミナー等、皆様のご要望に沿ったものをご提供していきたいと思います。