「実例に学ぶ!木造3階建て事務所 許容応力度計算セミナー」を開催しました

インテグラルでは2011年から、公共建築物等木材利用促進法の施行やつくば市の地球温暖化対策への取り組み「つくば環境スタイル」を背景に、「つくば木造・木質化エコプロジェクト」に取り組んでいます。
その主要プロジェクトが、インテグラル開発センター(茨城県つくば市)です。
「木造の軸組構法住宅で用いられている技術・部材を応用し、大空間を確保しながらも、耐震性と省エネルギー性に優れた環境共生型の中規模建築物を住宅建築同等のコスト・工期で実現」するというテーマのもと建築された、木造3階建てECOオフィスです。
「中規模の木造建築に、もっと手軽に取り組んでほしい。」開発センターはその実証でもあります。

遠景

実際、平成25年度に、国が整備した低層(3階建て以下)の公共建築物で実際に木造で整備された公共建築物は、わずか5%(24棟/484棟)でした。(平成27年3月25日 農林水産省発表資料より)

これまで、集会所や幼稚園等の公共性の高い建築物をはじめ、事務所・店舗等の一般建築物においても、その大半は鉄骨造やRC造で建築されてきました。そのため、中大規模の木造建築については、非木造建築物に比べてコストや防耐火等の法規制、構造設計の難易度が高いとの認識が広がっており敬遠されがちでした。

では、その認識を払拭し、中小工務店や一般の設計事務所に積極的に取り組んでもらうためには何が必要なのか。
その答えの一つとして、インテグラルが企画・開催したのが「実例に学ぶ!木造3階建て事務所 許容応力度計算セミナー」(開催日:2015年4月3日)です。

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開発センターは、自社開発の構造計算ソフト「ホームズ君 構造EX」と「許容応力度オプション」「面材詳細計算法オプション」を用いて、許容応力度計算を行いました。

この「ホームズ君 構造EX」には、構造計算の専門知識がなくても、ソフトを使いながら構造計算を学習できるという特長があります。
本セミナーの参加者には、実際に「ホームズ君 構造EX」の操作を体験していただきました。

計算条件設定、伏図入力、基礎の入力、柱・水平構面の設定、許容応力度計算、検定NG解消まで一連の操作を体験し、また、実際の建築物、つまり開発センターを見学していただくことで、ハードルが高いと思われがちな許容応力度計算への取り組みにトライしていただこうというのが目的です。

本セミナーは、基礎講習50分と構造設計実習160分で行いました。合計で210分。わずか、3時間半で木造3階建て事務所の許容応力度計算を体験していただくことができます。

開発センター3階、リフレッシュルームは4.55mスパン、梁表しの勾配天井です。その開放感や木質感を見学会で目の当たりにしていただいた後、面材詳細計算法を用いた水平構面の検定クリア方法をご紹介しました。

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リフレッシュルームの勾配天井は、標準的な仕様では耐力が足りず検定NGとなりますが、垂木・面材の寸法や釘ピッチを綿密に計算して、設計・施工を実現しました。計算条件や計算量が多く複雑な内容であっても、「ホームズ君 構造EX」を用いることで瞬時に計算できるため、検定をクリアするまでのトライアルアンドエラーが素早く簡単に行えます。それにより、設計の可能性が格段に広がることを体験していただけたのではないでしょうか。

参加者の中には、福岡や広島からお越しいただいた方もいます。操作セミナーのため、セミナーの告知はホームズ君シリーズのユーザー団体である「すまいの安心フォーラム」会員を対象に限定的に行ったのですが、告知後まもなく定員となりました。許容応力度計算や木造3階建て建築物への関心の高さのあらわれかもしれません。

インテグラルでは、この許容応力度計算への取り組みを推し進めるため、全国でセミナーを開催することを検討しています。詳細が決まりましたらホームページ等でご案内いたしますので、ご期待ください。