【大橋好光教授特別講演】「2012年改訂版解説 耐震診断実務者セミナー」

2013年3月18日、「2012年改訂版解説 耐震診断実務者セミナー」(ホームズ君すまいの安心フォーラム主催)を、秋葉原コンベンションホールで開催しました。

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昨年2012年6月に、一般財団法人日本建築防災協会が発行する「木造住宅の耐震診断と補強方法」が改訂され、各診断の計算内容や適用範囲に変更がありました。 本セミナーでは、その改訂に携わられた東京都市大学 工学部建築学科の大橋好光教授をお迎えし、改訂のポイント、特に非住宅建物の耐震診断についてお話をいただきました。

大橋先生特別講演ということで定員をはるかに超えるお申込みをいただき、大盛況のセミナーとなりました!一人でも多くの方にご参加いただけるよう、急きょ椅子席での開催となりました。

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今回のセミナーでは、一般診断法や精密診断法1における改訂の基本方針の他、非住宅へ適用範囲が拡大された精密診断法2について、大橋先生に解説いただきました。
大橋先生は、精密診断法2の各計算方法(保有水平耐力計算、限界耐力計算、時刻暦応答計算)について、「大地震時の建物の性能を直接評価すること、「層」としての挙動を見ることなどは共通しているが、それぞれ計算の考え方が異なるため、プログラムを使用して診断する場合は診断者の心構えとして、ただ入力をして結果が出れば良いというものではなく、診断法の考え方や根拠をできるだけ理解した上で、結果の妥当性などを判断し診断や補強設計に活用してほしい」とおっしゃっていました。
また、精密診断法2の解説の際、大橋先生は、振動台実験にも触れられ、「振動台実験の環境がここまで整っているのは、日本以外にはない。」ということもおっしゃっていました。
大橋先生の解説から、日本の耐震に対する意識、重要度の高さもうかがえ、非常に興味深いものでした。
このように、耐震基準を作成する側の意見や経緯、お話を伺うことができたのは、参加いただいた方にとっても、貴重な経験となったのではないでしょうか。

大橋先生の講演終了後の質疑応答では、ご参加の皆様から活発な質疑がありました。 地震による被害を受けた建物の診断方法や、横架材間の高さが低い筋かいについての耐力の考え方など、やはり実務的な質問が多くありました。
セミナー後のアンケートでは、「大橋先生の講演は、内容的には難しかったが非常に充実していた。」という感想を多くいただきました。また、ホームズ君「耐震診断Pro」の「保有水平耐力計算オプション」を使ってみたい方が6割以上にのぼるなど、非住宅の耐震診断方法、保有水平耐力計算に関する注目度の高さを感じました。
セミナー会場では、たくさんのホームズ君ユーザー様とお話しすることができました。ユーザー様からの要望や期待等、生の声を聞くことができたのでとても嬉しく、今後はさらによいソフトやサービスを提供したいと強く思いました。

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大橋先生の講演後、インテグラル 代表取締役柳澤泰男より、「木造住宅の耐震診断と補強方法」の改訂による評点の傾向とその分析結果について説明いたしました。
インテグラルでは、ホームズ君「耐震診断Pro」のユーザー様から提供された物件データ(約70件)を元に、2004年版と2012年改訂版での評点を比較調査し、その傾向を分析しました。
※分析結果の詳細は、こちらのページから参照いただけます。
今回の改訂により、一般診断法は精密診断法1に近づいたといえますが、不明壁や劣化の状態によっては、評点の差が大きくなる場合もあります。補強設計を行う上では、やはり精密診断法1で診断することをお勧めいたします。
また、平屋(下屋)部分の柱接合部の低減係数の見直しにより低減が軽くなる場合があったり、偏心率の低減のかかり方が変わることにより2004年版の評点と大きく異なる場合があったりするため、注意が必要です。

つい先日(2013年3月8日)、耐震改修促進法の改正案が閣議決定され、今後は耐震診断や改修の努力義務の対象が一般住宅にまで拡大されるようです。
平成25年度の住宅・建築物省エネ改修等推進事業においては、省エネ改修工事と合わせて耐震改修工事を実施した場合、補助金が適用される等の動きもあります。
ホームズ君「耐震診断Pro」を通して、今後も診断者の皆様のお力になれれば幸いです。
また、このようなセミナーを通して耐震診断への理解を深めていただき、一棟でも多くの建物の耐震化につなげることが、すまいの安心フォーラムの目標です。
これからも皆様にご満足いただける充実した内容のセミナーを開催してまいりますので、是非ご参加ください!